tortillaの日記

文章を書くのは日々のできごとの整理。

妊娠発覚~流産②

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①の続き。

2回目の診察のときには胎嚢も確認でき、正常な位置で妊娠が続いていることがわかった。もらったエコーの写真を見ても、よくわからなかったけれど、自分のお腹の中に赤ちゃんがいることが嬉しかった。次の診察で心拍が確認できるだろうとのことだった。その日はちょうど夫の誕生日で、実家の母や妹も「最高の誕生日プレゼントになるね」と言ってくれたし、夫もさらに嬉しそうな顔をしてくれた。

疲れと眠気は相変わらず続いていて、「仕事中も疲れるなぁ」と思いながらも、さすがに心拍が確認できるまでは職場に報告しなくてもいいだろうと思っていた。そんなところ、ある日、トイレで遭遇した台湾人の同僚が、「先生、最近お疲れですね、もしかして、妊娠ですか?」と聞いてきた。否定する必要もないことなので、「はい、実は…でもまだ超初期で心拍も確認できていないんです。」と伝えた。彼女は「台湾では3か月まで他の人に妊娠を報告してはいけない、報告すると流産するという言い伝えがありますが、私は体もきついでしょうから、マネージャーには報告したほうがいいと思います」と言ってくれた。それでも、私は何とかなるだろう、と思い、報告もせずにいた。

食卓での苦痛も相変わらず我慢していたが、徐々に限界が近づき、夫や母に愚痴るようになった。二人には「『いらない。』とはっきり言えばいいじゃないか」と言われたが、その一言を言う勇気はついに出なかった。おじいさんは私に鶏精(鶏のエキスで滋養強壮にいいと言われる)をくれて、嫌々飲んだ。においが受け入れ難く、鼻をつまんで飲んだ。唯一、辛いものが食べたくなったけれど、刺激物はよくないからと、我慢していた。
とうとう耐え切れなくなり、ある夜、夫の前で、鶏精もしらすも赤い野菜ももう何も食べたくない!食事が辛い!日本に帰りたい!と泣きわめいた。今思えば、ただ、誰かに共感してもらいたかったんだろう。それとは裏腹に夫は解決策を示した。義母は別に私に無理矢理食べさせているわけではない。自分で食べるものを取捨選択すればいいじゃないか。1から10まで義母のいうことを聞く必要はない。食べるのは自分の意思だ。前妻の話を聞きたくないのなら、そのことを義母に言えばいい。どれもみごとな正論だが、当時の私にはできることじゃなかったし、欲していた言葉でもなかった。なんとなく夫に見放された気持ちになった。

続く。